文章の師匠の教え
以前、広報部に勤務していたときにお世話になった方がいる。
日本を代表する新聞社の論説委員や編集委員などを歴任され、定年退職後、また別の新聞社へ再就職。75歳を過ぎた現在も新聞記者として第一線で活躍されている。
10年以上前の話だが、その方を非常勤社員として招聘し、若手社員の書いた社内報やプレスリリース等の添削をお願いしていた時期がある。
大新聞社の編集委員まで務めた人だから、とても厳しい人に違いないと、みんなはじめは戦々恐々としていた。
私も恐る恐る原稿を提出したところ、予想外のお褒めの言葉をいただき、拍子抜けしたことを覚えている。
程なくして分かったことだが、その方は文章の個性を尊重されていて、個人を全否定するような指導は一切されなかった。
「ここはこういう表現の方が読者に伝わると思うよ。」
「形容詞を多用すると、かえって読者に伝わらなくなるから、この部分は削除した方がいいよ。」
常にこんな感じで指導してくださったので、文章を書くことへの苦手意識が次第に薄れていった。
その方との交流で学び得たものは、文章以外にもたくさんある。
小説や旅、歴史、スポーツ、人との付き合い方など、一つひとつの会話が楽しく、その後の私の人生を豊かなものへと導いてくれたと、今もなお感謝している。
私はその方を勝手に「文章の師匠」と呼んでいるが、文章に限らず、人生の師匠でもある。
師匠のような、素敵なシニアになれるよう、私も自己研鑽に努めたいと思っている。
せっかくなので、この機会に師匠から教わった文章を書く際の留意点について、要点のみだが記録にとどめておきたい。
1.100字(原稿用紙なら5行)をめどに改行すること
2.一つの主語には一つの述語を置き、文章はなるべく短くすること
3.接続詞と形容詞は多用しないこと
4.「他人の目」で読み返すこと
5.日記を書くこと
しかし、自分のブログを読み返してみると、全然できていない・・・。
せめてブログの更新ぐらいは続けていこうと思う。