死ぬまで使い続ける「一生モノ」リストを作成すると、働く意欲がよみがえってきた
この十数年間、仕事を頑張り過ぎたと思う。
たいした能力もないのに、周囲の期待に応えようと、無理を重ねてきた。
本当はぐうたらなくせに、有休等はほとんど消化せず、連日の深夜残業も当然のごとくこなしてきた。
上司の厳しい注文にも、必死にくらいつき、何とか及第点をもらってきたように思う。
40歳を超えたころ、自分は何のために働いているのか、わからなくなった。
はじめは家族のため、と自分に言い聞かせていたが、世の中への関心が次第に薄れ、物欲もなくなっていった。
このままではまずい・・・。
そんなとき、以前仕事でお世話になった精神科医の「旅行療法」の話を思い出した。
鬱(うつ)症状の患者さんには旅を薦めているというものだ。
早速、青春18きっぷを購入し、綿密な計画など立てずに各地を巡ってみたところ、とても面白かった。
この3年間で北は青森から南は鹿児島まで、いろんな場所を訪れることができ、ずいぶんとリフレッシュできたように思う。
気ままな一人旅、という趣味もできた。
でも、物欲は相変わらず生じない状態が続いた。
そんなある日、自分にとって一生モノの必需品を持つことのすばらしさを説いた書籍に巡り合った。
これまでは、身の回りにある大半の物は消耗品と捉え、深く考えることなく、値ごろなものばかりを買っていた。
それではだめだという。
自分の身の丈以上のものを思い切って買う。
その代わり、手入れをきちんと行い、一生大切に使う。
そうすることで、トータルではそちらの方が安くつくし、何よりモノを大切にする精神が自然と身に着き、他者にも優しくなれるという。
断捨離と同じ境地だ。
早速、リストを試作してみた。
靴、傘、財布、時計、眼鏡、椅子・・・
どんどん出てくる。
毎月の給料日、年2回のボーナス日が待ち遠しくなってきた。
働く意欲がよみがえってきたようだ。
つらいこともあるけれど、また明日からの仕事を頑張ろうと思う。