クレーム対応は浪花節で
コロナ禍の影響で毎日苦情の電話対応に迫られている。
はじめは担当者が一次対応するのだが、それで収まらない場合は、上司・年長者である私の出番となる。
「すみません、お願いします・・・」
若い部下や同僚から申し訳なさそうに頼まれると、断るわけにはいかない。
職場全体からの注目を浴びながら、覚悟を決めて受話器を取る。
わざわざ電話代を払って、日中に電話をかけてくる人たち。
経営者に直談判するのならともかく、一部署の担当者に文句をさんざん言ったところで現状が変わるわけがない。
冷静に考えればわかるはずだ。
しかも当方が全面的に悪いのならともかく、今回は政府や自治体からの自粛要請を受けて、止む無く取った措置。
「じゃあ、どないせえ、ちゅうねん。知らんがな。。。」
これが本音である。
でも、実際にそんな対応はできっこないし、取って置きの解決策など何もない。
言い訳をすればするほど、墓穴を掘るだけ。
基本的には、相手の苦境に思いを馳せ、なるべく共感し、ただぐっと堪えて聴くだけ。
すると、どちらかというと男性に多いのだが、「あんたにこれ以上言っても仕方ないわな・・・」といった雰囲気になってくる。
最後に、「我々も最善を尽くしますので、申し訳ございません」と述べ、受話器を置く。
クレーム対応も義理・人情の世界。そう、浪花節だ。
私のような冴えない中年リーマンでも、先進的な技術を使いこなし、語学も堪能な後輩に勝てるのが、浪花節的対応力。
あくまでも推測だが、苦情を寄せる人にとって、若い女性担当者に対応されるよりも、中年のおっさんに対応された方が、何となく偉いさんに言ってやった感が生じて、満足度が高まるのかもしれない。
当社の場合、年齢や性別はまったく関係ないのだが、現実はそのようである。
今回のコロナ禍で自分に脚光が当たるとは思いもしなかった。
でも、さすがに連日お叱りを受け続けるのは、つらい。
もういい加減にしてほしい。
周囲が在宅勤務を進めるなか、ある意味、命がけで出社しているのだから、そのあたりのことを想像したうえで、電話するならしてほしい。
今日も全国で働いておられるコールセンターやお客様対応係の方に敬意を表して、心底そう思う。